パワハラについて パート2

執筆者:setoguchi

 今回は、パワハラをいかにしないか、どうしたらパワハラにならないか、ということに焦点を当てます。

 最近は、部下からパワハラ被害を訴えられることを怖れて、必要な指導まで控えてしまう上司が増えています。上司は、自らパワハラをしないことはもちろん、部下にもさせてはいけません。ただし、必要な指導を適正に行うことまでためらってはならないのです。

 そのためには、まず、「恫喝」(どうかつ)と「指導」の違いを明確にすることでしょう。「恫喝」とは、「自分の利益のために罵倒や怒声などにより、相手を畏怖させる行為のこと」です。業務内容とは全く関係ない嫌悪感を伴った人格攻撃を大声で浴びせられれば、それは「恫喝」であって、「指導」とはいえません。適切な「指導」がパワハラに認定されることはありませんが、脅しや「恫喝」となるとパワハラに認定されるばかりか、場合によっては刑事罰を科せられる可能性があります。

 そうならないためには、「怒る」と「叱る」の違いを理解しなければなりません。「自分の損得のために」が「怒る」であり、「相手の成長のために」が「叱る」という行為です。つまり、「怒る」は自分が困りたくないから、不利益を被りたくないからという理由の自分本位型のコミュニケーションであり、「叱る」は改善提案や相手の成長を促すことが目的の相手本位型のコミュニケーションということです。

 ここで叱り上手になるためのヒントを紹介します。ニューヨーク・ヤンキースを4度の世界一に導いた名将ジョー・トーリ元監督。彼は叱るのも褒めるのも絶対に1対1で行いました。ミーティングなどで、みんなの前で叱ったり褒めたりではなく、選手を監督室に呼んで完全に1対1で行うことを徹底しました。なぜなら、プライドが高いメジャーリーガーをみんなの前で叱るとプライドは傷付き、言うことを聞いてくれなくなりますし、みんなの前で褒めると褒められていない選手が面白くなく、同じように言うことを聞いてくれなくなります。自らのメジャーリーグのスーパースターだったトーリ元監督は、このことを熟知していました。この選手操縦法が4度の世界一に輝いた由縁(要因)と言っても過言ではないでしょう。

 1対1の鉄則は、部下だけに当てはまるわけではありません。子供に対しても同じで、兄弟姉妹を一緒に叱る(褒める)のではなく、1人、1人、別々に叱って(褒めて)ください。その方がとても効果的です。ぜひご自分のお子さんに試して、実感してみてください。

検索

カレンダー

2023年1月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031 

過去のブログ