よもやま話のブログ一覧です

ミスター伝説②

 これも、今は亡き武上四郎氏(元ヤクルト監督、巨人打撃コーチ)から聞いた話。 ミスターこと長嶋茂雄監督(当時)に請われ、武さんは巨人軍の打撃コーチを引き受けた。監督(ヤクルト)を務めた人物が、コーチを引き受けるのは珍しいが、ミスターの言うことには逆らえない。 打撃コーチの仕事のひとつが、代打を準備すること。相手投手との相性や成績を加味して、3人は準備させ、その時の仕上がり具合から順番に名前を挙げていく。 ある試合でチャンスを迎えた時、武さんは準備ができている順に選手の名を挙げた。 すると、長嶋監督は、1番目に出来ている選手ではなく、2番目の選手を指名した。  次の機会、同じような状況で、長嶋監[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

ミスター伝説①

 今は亡き武上四郎氏(元ヤクルト監督、巨人打撃コーチ)から聞いた話。  ミスターこと長嶋茂雄氏と武さんが、ともにオフだったある日、長嶋さんから武さんのもとに電話がかかってきた。  「タケちゃん、ゴルフ行こ、ゴルフ!」  「わかりました!」 ミスターの言うことに逆らうことはできない。武さんは、信濃町の自宅から田園調布へ車を飛ばした。  「行こう、千葉、千葉!」 2人が向かった先は、ゴルフ場が多く点在する千葉県。ミスターは、通りがかりのゴルフ場の看板のひとつを指差し、こう言った。  「ここにしよ、タケちゃん、ここ!」  「わかりました!」 ミスターに逆らうことはできない。もちろん、予約など取ってお[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

デレク・ジーターに怒られた苦い思い出

 私の時代、ヤンキースのキャプテンといえば、デレク・ジーターだ。とにかく、チャンスで打ってくれる。大型遊撃手では考えられない華麗で軽快な守備をする。グリーンの瞳と甘いマスクで、ニューヨーカーに絶大な人気を誇った。  そのジーターにある日、こんな質問をした。 「オフって、どう過ごしているのですか?」  今、思えば、なんて間抜けな質問。しかし、スーパースターを目の前にして、この程度の質問しか咄嗟に出てこなかったのだ。  ジーターはグリーンの瞳をこちらに向け、それでも真摯に答えてくれた。  「オフ? それはどういう意味かい? オレたちにはオフという言葉はないよ。強いて言えば、オフはユニホームを脱いだ[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

王さんに怒られた苦い思い出

 かつて私は王さん(貞治氏、現ソフトバンク会長)に怒られたことがある。  スポーツ新聞社に入社して1年目、シーズン中のある日、巨人担当キャップから、「お前、明日、王さんと一緒に球場(後楽園)に来い!」と厳命された。  当時、プロ野球担当記者は、球場入り前が勝負だった。監督、コーチ、選手の家へ行き、車に乗せてもらったり、一緒に電車に乗ったりして、取材した。球場入りしたらろくな取材ができないからだった。  その日、王さんの自宅へ行くと、すでに各社の“王番”であるベテラン記者たちが顔を揃えていた。取材どころか、顔と名前を王さんに覚えてもらうのが精一杯の私は、この時点で勝負あった。  当時、長嶋さんも[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

第1回WBC回顧録

 2006年に行われた第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、王ジャパンが優勝を果たした。  その記念すべき第1回大会で、忘れられない光景がある。  東京ドームでの1次リーグを終え、2次リーグへ向けてアメリカへ渡った王ジャパン。アリゾナでマリナーズ、レンジャーズ、ブルワーズと練習試合を行い、2次リーグでアメリカ、メキシコ、韓国と対戦した。  忘れられない光景とはこれらの試合前に起こった出来事だ。  各チームのスーパースターたちが、次々と日本を率いる王貞治氏のもとに来て、握手を求め、ハグをして、一緒に写真を撮ったのだ。  誰もが、野球少年のように目を輝かせ、「サダハル・オー」に挨拶[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

下を向いて弁当を食べるな

 アメリカ人は、本当に野球に詳しい。とくに作戦面まで評論家のように自論を語れる。野球=ナショナル・パスタイムと言えばそれまでだが、これにはちゃんとした理由がある。  それは、ネットだ。  野球が考えだされた当初から、バックストップと呼ばれるバックネットはあったが、それ以外のネットはなかった。つまり、観客は強烈なファウルライナーから自分で身を守るしかない。だから、1球たりともボールから目を離すことはできず、集中して野球を見るしかなかった。  そりゃ、野球が詳しくなる。打者によって(もしくはカウントによって)、投手によって(もしくは球種によって)自分の方向へ打球が飛んでくる確率が変わるのだから、真[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

審判の頭

 アメリカ人の審判と日本人の審判が主審を務めた場合、大きな違いが生じる。  アメリカ人の審判が主審を務めた際、その審判の頭は、打者とホームベースの間に置かれる。つまり、左打者でも右打者でも内角を見るようになる。なぜ内角かというと、投手が内角を投げた際に死球になる確率が高く、乱闘を引き起こしかねないからだ。いわば、内角を厳しくすることで、乱闘の抑止力になる、というわけだ。  かたや、日本人の審判は、捕手の頭の後ろに頭を持ってくる。  この違いによって、何が起こるか?  アメリカ人の審判の場合、内角は厳しい判定になるが、外角は遠いため、ボール2個分ほど甘くなる。  日本人の審判の場合は、内角、外角[…続きを読む]
2023/04/28 執筆者:setoguchi

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