魔法の言葉

執筆者:setoguchi

 今回は「魔法の言葉」を取り上げます。これは、マイナス思考を一瞬のうちにプラス思考へ変えてしまう言葉です。2つ、取り上げます。

 1つ目は、「せっかく」です。有森裕子という女子マラソン選手がいました。バルセロナ五輪で銀メダル、アトランタ五輪で銅メダルを獲得した日本を代表するランナーです。バルセロナ五輪に出る前のことでした。五輪切符を手に入れるためには、直前の大会に優勝するしかありませんでした。ところが、その大事な大会の1カ月前にオーバーワークがたたって足を故障してしまったのです。

 「このままでは間に合わない。オリンピックに行けない」と有森は焦りました。その時です。当時の小出義雄監督が「魔法の言葉」を使いました。

 「いいか、有森。せっかく神様が休めと言っているのだから、ゆっくり休め」

 この言葉を聞いた有森は、気持ちがスゥーッと落ち着いて、治療に専念し、大会に間に合い、優勝し、オリンピックに出場し、銀メダルを獲得したのです。

 目の前に起こった出来事が良くない、最悪と思っても、それが「結果的に」良くない、最悪なこととは限らないのです。逆に良いこと、最高のことかもしれません。目の前に起こった出来事は、無色透明です。何の色もついていません。色をつけるのはあなた自身です。マイナスの色をつければマイナスに、プラスの色をつければプラスになるだけなのです。

 たとえば、乗ろうとしていた電車に間に合わなかったとします。「チキショー!」と頭に来て、イライラすることもできますし、「せっかく乗れなかったんだから、ベンチに座って飲み物でも飲むか」とひと息入れることもできます。あなた次第です。よく考えてみてください。イライラしても何も生まれませんし、その日一日嫌な気持ちでしょう。しかし、ひと息入れることで気分転換ができ、気分良くその日を過ごせるかもしれません。いいアイデアが生まれるかもしれません。どちらが精神衛生上いいかは言うまでもないことですよね。

 2つ目の「魔法の言葉」は、「良かった、良かった」です。中古車販売会社「ガリバー」の羽鳥兼市会長は、こう言っています。

 「文頭に“良かった、良かった”をつけなさい。そうすれば、身内に不幸以外は99%超プラス思考になれるから」

 使い方はこうです。「足を骨折した。良かった、良かった、死なないで」。死ぬことに比べたら、骨折など大したことはないのです。また、「昨晩はよく眠れなかった。良かった、良かった、おかげで今晩はぐっすり眠れる」など、応用はいくらでもできます。

 「せっかく」と「良かった、良かった」。今日から使える「魔法の言葉」で、目の前の景色をプラス色に塗り替えてください。

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