1978年、35ドルだけを手に、長距離バスでデトロイトからニューヨークへやってきたマドンナ。ヌードモデルで糊口をしのぎながら、好きなダンスや歌を仕事にしようと努力していました。
その努力が実り、1984年に発表した『ライク・ア・ヴァージン』が世界的に大ヒット。時代を象徴するポップスターとして、世界中に知られるようになりました。
売れないときから続けていたマドンナの習慣は、「好きな音楽を流しながらダンスをする」というもの。音楽に合わせて、感じるままに体を動かすことにより、心がどんどん解放されていったといいます。
好きな音楽でダンスをすることが、心理面に及ぼす効果というものがあります。好きな音楽を聴くことで、ストレスが解消し、意欲が向上するという効果が。また、全身で踊ることで、脳が活性化し、前向きな気持ちになるという効果があることがわかっています。
オックスフォード大学のブロンウイン・タール氏らは、264人のブラジル人学生を「全身を使うダンスを教える」「手だけを動かすダンスを教える」の2グループに分けて踊らせる実験を行いました。すると、前者のグループのほうが、脳内麻薬エンドルフィンを多量に分泌していることが明らかになりました。エンドルフィンには陶酔感が得られ、嫌なことを忘れ、免疫力を高める効果があるといわれています。
マドンナは「ダンスは、若い気分になれて、フラストレーションを解消できるセラピーである」と言っています。落ち込んでいるときでも、ダンスをすればそこから抜け出せる。幼少期に実母の死去、継母との確執など、つらい経験をしたマドンナにとって、それを吹き飛ばしてくれたのが、大好きなダンスだったのかもしれません。
落ち込んだときや、テンションを上げたいときは、マドンナのように好きな音楽を流して、想うがままに全身を動かすことをお薦めします。