毎日同じ服を着る効力

執筆者:setoguchi

 特殊相対性理論および一般相対性理論、相対性宇宙論などを提唱した物理学者、アルベルト・アインシュタイン。既存の物理学の認識を根底から覆してしまったことから「現代物理学の父」「20世紀最大の物理学者」とも評されています。

 このアインシュタインには「毎日、同じ服を着る」という習慣がありました。「何を着ようか」と毎朝悩むのは時間と労力の無駄だと考え、同じ服を着続けたのです。

 フェイスブック(現メタ)の共同創業者マーク・ザッカ―バーグや、アップルの共同設立者スティーブ・ジョブズなども、アインシュタインと同じ習慣の持ち主です。

 ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人間は1日のうちに最大3万5000回の決断をしているとのこと。起きている時間を18時間とすると、1時間に約2000回、1分間に約30回の計算になります。

 そして、心理学者のジョナサン・レバーブ氏とシャイ・ダンジガ―氏は、意思決定の繰り返しによる蓄積疲労(決断疲れ)が、ケアレスミスや衝動買いなど不合理な意思決定の原因のひとつになると明らかにしています。たとえば、2人は、刑務所の判事の「決断疲れ」について調査しました。その結果、午前中から1日の終わりに向かうに従って、だんだんと衝動的な決断が多くなり、併せて決断の先送りも増えることが明らかになりました。

 アインシュタインやザッカ―バーグ、ジョブズといった世界を代表する天才たちは、毎日同じ服を着ることで1日のなかの「決断」の回数を極力減らし、その分の時間と労力を仕事に注いできたのです。

 アインシュタインは、「毎日、同じ服を着る」こと以外にも、いつも同じレザージャケット(リーバイス)を着たり、意図的に理髪店に行く回数を減らしたり(おかげで髪の毛はいつもボサボサ)、酒は飲まずに紅茶を飲んだりと、日常生活の「無駄な決断」を極力排除し、脳を常にクリアにしていた結果が、世の中の価値観を変えてしまうような大偉業につながりました。

 

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